第1章 残酷な運命

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見ず知らずの、しかも今会ったばかりの人に心の内を読まれてしまうほど、私は寂しい雰囲気を出していたのだろうか。 もしくは、彼が女性を口説くのに慣れているか。 (…きっと後者だな) 私が自分の中だけで結論を出している間に、彼はマスターにジントニックを注文していた。 「あなたは常連なの?」 「まぁな。こじんまりとした店の雰囲気が気に入ってるんだ。それに、何よりもマスターが良い男だからな。つい話し込んで長居しちまう」 「そう言っていただけるのは光栄ですね」 マスターはニコリと笑みを浮かべながら返しつつ、彼の注文したジントニックと私のモスコミュールを差し出した。 「てか、アンタ結構飲んでるみたいだけど大丈夫か?」 彼は私の様子を見ながら少し心配そうに声をかけてきた。 「だいじょーぶ。それに…私だって思いっきり飲みたい時もあるんだから」 「…そっか。まぁ、誰にでもそんな日もあるよな」 そう言った彼の表情は、どこか自嘲気味に笑っているようだった。 「まぁ、そういう時は誰かに話すのが1番だ。ほら、話してみろよ」 「どうして見ず知らずの人に話さないといけないのよ」 「見ず知らずの人の方が話しやすいってこともあるだろ。これも何かの縁だよ。話したくないなら無理にとは言わねぇけど…少しは楽になるんじゃねぇか?」     
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