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「隣り、空いてますか?」
その声に、私の思考は停止した。
この場所で聞くはずが無い声がしっかりと私の耳に届いてきた。
もしかしたら幻聴なのだろうか。
まさかと思いつつ恐る恐る顔を上げると、私の横には先程まで想いを馳せていた人物、海斗の姿があった。
「久しぶり、羽奈」
以前と変わらぬ笑顔と優しい声。
「…ど、して…」
あまりの驚きで私の思考はすっかり停止してしまった。
「俺も一緒に沖縄支店に行く事になったんだよ」
ニッコリと笑顔を向けられて言われた言葉は衝撃的な事だった。
「は!?え…一緒にって…どういう事!?」
全然理解が出来ない私を海斗は「まぁ落ち着けって」と宥めつつ、私の空いている隣りの椅子へと腰掛けた。
「…結衣とは、離婚した」
海斗から落ち着いた口調で更に思いもよらない事実を告げられ、私はただただ驚きの声を上げるだけだった。
そんな私の様子に海斗はクスリと小さく笑うと、そのまま説明を続けてくれた。
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