真・バレンタインデー

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 翌、(セント)バレンタインデー当日の放課後……。 「――えへへ…やった。今年はチョコもらえたよ……あの子からだったらいいな……」  自分の下駄箱にカワイイ包み紙で巻かれたチョコと思しき物体を見つけ、一人の男子生徒が人気(ひとけ)のない校舎の裏でさっそくその包みを開けようとしていた。 「さてさてぇ~どんなチョコなのかなあ? やっぱオーソドックスにハート形かなあ……」  期待と緊張に満ちた顔で、そのあまりイケメンの類とはいえない男子生徒は丁寧に包み紙を開け、おそるおそる中の箱の蓋もとる……。 「…っ!? ……な、な、な、なんじゃこりゃあぁぁぁ~っ!!!」  だが、その中に鎮座する暗褐色の甘い菓子を見た瞬間、彼はひどく蒼白い引きつった顔で、地獄の悪魔にでも会ったかのように断末魔の叫び声を上げた――。
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