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そんな魔女が、王室の任務で僻地にやってきた。
それも、期日を5日間遅れて。彼女がここへ到着した時には、すべてが終わった後だった。
それゆえの陰口である。彼女を魔女とののしり、役立たずとさげすむ。そのくらい、憎まれた。
しかし、このたび、この田舎にはもう一人、客を迎えている。
へリンが地主の庭から出て行ったすぐあと、にわかに屋敷の中が色めき立った。
真っ黒い魔女とは対照的な輝くほどに美しいブロンドの青年。細身ではあるが引き締まった長身を持て余しつつ、部屋から階下へ降りてくるところだ。
使用人たちは彼を恩人と呼ぶ。
彼らにとっては予想外の客であるが、のろまな客よりずっといい。何より、彼こそ、この村の脅威をなくした張本人だからだ。
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