エンシェントドラゴン

3/16
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/157ページ
「お前、人間臭いな。誰だ」 段々と怒気をはらむ。苛立ちを隠すこともせず、触手を伸ばして左足、右耳、左手を潰していった。どこかの悪魔祓いは、とにかく苦痛を与えるというものがある。聖水を浴びせ、さながら水攻めにしたり、棒で強く打ち付けたり、ナイフで傷をつけたり、鞭で打ち付けることもある。魔人はもしかすると、そういう気持ちだったのかもしれない。 「ブルーを、殺したのはあなた、です、よ、ね」 アスターはそれでも聞いた。痛みはとうにマヒしている。ただ、消耗は激しく、まともに息もできない。騎士の体も、彼女の気持ちに引き摺られたのか、力なく膝をついた。 痛くは、ないのに。両脚は立たず、両手は大地を掴んだ。必死に顔だけをあげて魔人を見た。 「あの時、ブルーを殺した、のは」 「うるさい」 触手は拳となって、腹にめり込んだ。鎧でさえも貫通する衝撃に、アスターは血を吐く。少しだけ体が浮いて、受け身も取れずにそのまま地面に倒れこんだ。その頭を魔人は踏みつける。 「さっきから、うるさいよ。ブルーってなんだ。殺したかっていちいち覚えてると思うか」 「ブルーは、ドラゴ、ン。緑色の、綺麗な、私の、ともだ、ち」 騎士の頭をぐりぐりと足の裏で転がしながら少し押しつぶすと、騎士の顔が半分土に埋もれた。半分になった視界に、ドラゴンたちを見た。魔人の異様な気配に、仲間割れどころではなくなったらしい。その場にいた一同が二人の成り行きを見ている。
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!