至福の時

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 その間、雷月は寝室に向かい、何度か往復して、ベッドの上の掛け布団と毛布を、ズルズルと引きずって、玄関まで持ってくる。娘たちも何度か往復し、枕とクッション、大小さまざまなぬいぐるみを抱えてきた。  玄関にほど近い廊下にクッションを敷き詰めて、娘たちをその上に寝かせた。ぬいぐるみで隙間を埋めて、その上に半分に折った毛布をかけた。娘たちはキャッキャと笑いながら、秘密基地のようだと嬉しそうに転げ回る。  雷月は休む間も無く、安姫を引きずるようにして、もうすこし娘たちのいる位置に近い場所に移動させた。そして、布団をかけてやり、安姫の頭の下に枕を敷いた。よほど疲れているのか、安姫に起きる気配はない。  背中が、少し痛くなるかもしれないが……。 「……ご苦労様」  雷月は安姫の額を撫でる。そして、そのまま彼女の隣に横になり、寄り添うように眠った。
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