0人が本棚に入れています
本棚に追加
「……何、やってるんですか?」
眩い日差しと、それを背にする、唖然とした友人の顔が、そこにある。
合鍵を使って入ってきたであろう安曇は、呆れ顔で兄貴分と、実の妹を見下ろした。
雷月は、シィっと左手の人差し指を口の前に持ってゆく。隣では妻が、幸せそうに、寝息をたてていた。
もうすこし、眠らせてやってくれ。
雷月の口の動きに、安曇は「はいはい」と、ため息を吐いた。
「一度、出直します。昼には起きていてくださいよ」
声は小さく、かつ、口の動きは彼にしてはやや大きめに。安曇はそう言うと、回れ右して、静かに、玄関の扉を閉める。
雷月は左手を振って見送ると、再び、妻に視線を戻した。
最初のコメントを投稿しよう!