至福の時

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「……何、やってるんですか?」  眩い日差しと、それを背にする、唖然とした友人の顔が、そこにある。  合鍵を使って入ってきたであろう安曇は、呆れ顔で兄貴分と、実の妹を見下ろした。  雷月は、シィっと左手の人差し指を口の前に持ってゆく。隣では妻が、幸せそうに、寝息をたてていた。  もうすこし、眠らせてやってくれ。  雷月の口の動きに、安曇は「はいはい」と、ため息を吐いた。 「一度、出直します。昼には起きていてくださいよ」  声は小さく、かつ、口の動きは彼にしてはやや大きめに。安曇はそう言うと、回れ右して、静かに、玄関の扉を閉める。  雷月は左手を振って見送ると、再び、妻に視線を戻した。
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