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「あっこれチューリップをイメージしてるんですね!」 「ほんとだ、可愛らしいですね」 「テーマはお花畑なんですかね?」 丘の間の径を、所々立ち止まりながらゆっくりと歩く。彼はテンションが高く、純粋に美しいイルミネーションに感動しているようだった。 七美も一緒になってその光を覗きこむ。花だったり星だったり、雪の結晶だったりを型どった光の芸術は、七美の心にも優しく灯りをともしてくれるようだった。 丘のてっぺんへたどり着き、二人は並んで振り返った。 「…上から見るとまた格別ですね」 「これを作った人はすごいなあ」 ぽつり、と彼が呟く。 見渡す限り広がる光の海。カラフルでありながら、ギラギラとした派手さはなく柔らかな色彩を放っている。 「なんだか心が洗われますね」 そう言って七美は彼の方をちらりと見る。すると、彼は先程までの笑顔とは違い、何かを考えているような、少し思い詰めたような表情をしていた。 七美はなんとなく声をかけられず、しばらく黙って隣でイルミネーションを眺めていた。 周りは幸せそうなカップルで溢れている。凍えそうな雪降る夜に、わざわざイルミネーションを見る二人組。 端から見れば、自分達もカップルなのだろうか。     
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