世界

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が、次の瞬間には閉めていた。 きっと疲れているんだ…まだ起きて1時間だけど。 そう思って、でも信じ切れずにもう一度そっと玄関ドアを開いてみる。 目の前には雀が2匹。 でも、やはりさっき開けた時と同じように、羽を広げて降りてくる途中だった。 「いや、え、あり得ないよね。」 そのままじっと見つめてみるが、やはり雀は降りる様子はない。 それどころか、降りていくその一瞬を切り取られたかのように、動かないのだ。 耳を澄ましてみても、人の声、車の音、鳥の声など、何一つ音が聞こえてこない。 ただ、静寂なときにだけ聞こえる、しーんと言う音だけが耳の中で響いている。 「なんでだ。」 思わず声に出してみても、返事は返ってくるわけもなくもう一度玄関ドアを閉めて、部屋に戻る。 テレビをつけてみたが、さきほどの朝のニュース番組は女の人が天気図に向かって話している場面で止まったままだ。 タイムスリップ、異世界、そんな話は大好きでよく読むジャンルのものではあるが、実際自分の身になってみると、こうも何をしていいのか思いつかないものなのだな、とぼんやりと考えた。 時間が止まってしまった。 いや、そもそも時間という概念は人間がいて数えているからこそあるのであって、日が落ちて沈むだけに関しては、今私たちが知っている時間という概念では当てはまらない…いや、止まっているのだから、太陽の動きも止まっているのか。 なら、私は完全に人間のいる日常と切り離されてしまっているわけか。 「困った。」 人と話せない、講義が受けられないことに対しては困っていないが、何の理由かは分からないけど動けているのが自分一人ということに困ったと感じた。 何故私なんだ。 面倒だ。 このままシャワーを浴びて布団にもぐってしまおうか、と思ったとき、ふと水は出るのか気になった。 そのまま洗面台へと行って蛇口をひねる。 水は、出た。 「なんで出るんだ、時が止まるような感じの状態なのに。」 話のご都合か、なんて内心突っ込みつつも、少し状況を整理する余裕ができた。
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