4話 羨望《前半》

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ベッドに縫い付けられて数分。帝と格闘した結果、紐で手を縛られました。 もう足でシーツの海を泳ぐことができないのに、片脚を帝に掴まれて端まで追いやられた。 「前もそうですが、貴方の強姦ですからね!」 「強姦?俺は散々忠告はしてきたつもりだかな。それを無視し続けたお前も悪いと思うが」 俺の足が折り曲げられ薄茶色の髪がかかるほど顔が近くなる。やはり、綺麗な顔が距離が近づくだけで圧力と迫力が増す。思わず無言を突き通したくなる程に綺麗だと。 輝く蒼色の目、本当に空を見ているみたいだ。 「おとぎり」 優しく名前を呼ぶのはやめて欲しい、流されそうになるから。 どこまでも深い蒼から離れたい俺は顔を背けた。 すると耳元にふわりとした息が当たり、体の奥からゾクリッと何かが沸き立つような感覚が襲う。 「っ……。」 「弟切こっち向け」 耳が熱くなるのを感じ、そうか前のあの感覚がまだ残っているのか。 体が大袈裟に反応する、囁かれだけで甘く痺れるように体が動かない。 「耳が真っ赤」 嬉しそうな鼻笑いが聞こえる。赤くなっている耳朶を長い指先が遊ぶように弄りまわされた。 クリクリと指で挟んででいじったり、耳の形を確認するかのようになぞられたり、完全に遊ばれている。 羞恥心もそうだが俺の中の怒りがどんどんと増す。 なんか嬉しそうなのもムカつくし、俺の体を安易とチビだったコイツに弄ばれるていると思うとどうも納得がいかない。 だから、今一度帝と向き直り縛られている手を上げて帝の頭を囲う。 急に俺が動いたことで驚いているが、お構いなしに頭を引き寄せ、歯を立てて噛みつくように口を奪う。 キスというより捕食に近いかもしれない。 そんな中最初は呆然としていた帝も眼を据え口を開き舌を受け入れた。 歯を舐められざらりとした舌の感触、気持ち悪い。やっぱり口の中はダメだ、さっさとやめたい。 けど自分からやめたら負けた気がしてやめられない。 さっさと諦めろと懇願しながら、お互いの息を飲む。 「あっ……ううっ。」 あぶない、変な声をあげそうになった。 お互い喰われないように無我夢中に噛みつくが、帝が上顎をうまい具合になぞったからだ。 「フッ」 満足そうにまた鼻で笑う。眉は下がり、目の端は少しシワができいる『気持ちいいか』とまるで聞かれているようだ。 うわ、ちょー殺して。 そんなことを思っている内に帝の舌を奥深くまで受けいれ喉奥を突かれる。 やばっい! 「せっぱい、ストップ!やめてください」 「なんで。」 「ギブです、負けました。」 口を離す。 なんだって、わかるだろ。 眼でもうやめろと睨め付けるが、彼の何を煽ったのか上気した顔で覗く。 「なにそれワザとか?」 「へっ?」 自分でも思うほどアホな声と共に再び唇を奪われた。 入りきらない涎が口端から流れるのを感じ、そして最後に一噛みされた。 舌を歯で挟む、噛むのではなく愛撫でするように挟む。けれど少しだけピリッと痛い。 「……!」 足先から指先が真っ直ぐと伸びると全身が震えた、だから駄目だと言ったのに。 もう奥から吐いて出てきた熱に項垂れるしかなく、長い戦いに終わりをむかえる。糸を引きながら口が離れていく。 脱力した俺の異変に気がついた帝が上から下に視線が移動する。 「いったか。」 「情緒を慎むってものをご存知ですか。まじで最低ですね。」 「お前が始めたことだろうが」 「あーあー聞こえない。先輩の声が遠くなる。 てか、やめろって言ったでしょ!」 「あの時に睨むお前が悪い。」 「は?」 今はその答えしか出てこない。
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