4話 羨望《前半》

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睨まれて興奮するってドMかよと心の中で悪態をつきながら足を組み替えた。 パンツの布が肌にベタべタと張り付いて気持ち悪い、今すぐにでも中を綺麗にしたい。 手が縛られているおかげで履き替えることも出来ない俺は、目の前の人物に頼むしかない。 「もう、満足したでしょ?手を外してください」 再び飢えた獣に押し倒され、膝に柔らかいけど芯を持った硬い物が当たり、背筋がゾッとする。 「俺がまだだ。」 息を上がった帝がいう。 ですよねー。 「えっと……足でならやります。」 「……」 帝は考える。体を使う、俺にとっては苦渋の選択であり、足でならまだアレに触れそうな気がする。 舌が良いなんて言い出したら、舌を噛み切る覚悟はある。 「前から思ってたが、お前潔癖症だろ。特に口とかになるとここに皺がたまる。」 眉の間を指先でトントンと触れられた。何を言われるやらと構えていたが、意外な言葉が返ってきたので肩の力が抜けて少し落胆する。 「潔癖症?ちょっと綺麗好きなぐらいで普通だと思いますが?」 「そう言うなら、手ぐらい使えるだろ。」 「それはちょっと、気持ち悪いというか手がベタベタするのが嫌でというか、今縛られてますし」 紐で結ばれた手を見せ何もできないアピールをする。 「なら、仕方ないな。」 「でしょ!」 これで解放されると期待した。 残念ながら違ったらしい、力技で一気に体を反転させられた。 顔面に白い枕に包まれ、アイツの強く香りが、内蔵を全てをかき混ぜらるみたいに気分が酔いそうになる。 「ちょっと!先輩!また何!?」 「今日はよく驚くな、いいから大人しくしろ。」 慌てる俺を他所に覆いかぶさった獣が、鼻歌混じりで耳朶にキスをする。 背中の向こうで何かをしようとしている、悪寒を感じつつ、ズボンのゴムの部分に手が差し掛かったのを感じ、気がついた。 暴れようにも背中を向けている状況で無力な俺。 悩んでいるうちにリップ音を挟みながらもズボンを徐々に脱がされいく。 ベタベタと張り付いていた物は取り払われ、股から膝に自分の生温い液体が伝う。 せめてもの慈悲をかけてもらいたい、 「中はやめてくださいね。」 「そんな急にするか馬鹿。」 額をはたかれた。そうなんだ、てっきり強姦魔だからすると思っていた。 これから何をするのだろうか。 「ちゃんと股を閉めろよ。」 「まさか、素股ですか。」 恐る恐る訊いた俺とは違って、そうだなとあっけらかんとしていた。 腰を上げられ、股を掴まれ、俺の準備が整っていくのが恐怖でしかない。 「それを男にするとか聞いたことないんですけど」 「大丈夫」 首の骨の凹凸を一本一本の指先が優しく撫でる。安心できないはずなのに、耳の奥まで通る低くて甘い声。 意識とは関係なく体は勝手に従脳にし、息を吸いゆっくりと吐く、自然と力は抜けていく。  毒だ。 「いい子だ。」 そう言ってまた俺の頭にキスをした。 この人は毒だ。 目を瞑る、男にましてや体がでかい者に背後をとられるのは中々怖いものだと気がついた。 「ヒィッ」 俺は小さな悲鳴を上げる。 遂にあの熱い塊を太ももに押し付けられたからである。俺の精液が潤滑油の役目となって脚と脚の間に少しずつ順調に入ってくるのがわかる。 全てが入りきったのだろうか、あの禍々しい性器が上下に動き出した。荒れた息遣い、相手も相当興奮してるらしい。 見てないが、あの筒は想像よりか遥かにダイブデカイ。 異物が当たるたびに粘着した音、玩具のように使われているだけなのに、これは言葉に出来ないほど感情が高鳴り、頭がボーとしてきて、この状況はやばいかもしれない。 「おとぎり」 「っ……」 名前を呼ばれるだけで、心臓が跳ね上がり血が沸き立つように沸騰する。 帝が俺の首の出っ張りの骨に舌をそわせ、ゆっくりと脊柱をなぞるように舐める。傷のせいもあって敏感な背中。 俺は快楽で根を上げそうになり唇を食いしばり声を噛み殺した。 それのお返しに股を締めると、うっ低く唸る声、帝が苦しそうに息を詰めた。 「っあはっ、まるで猫の交尾みたいですね。」 俺は気分が良くなり嘲笑い罵る。 「フッ、猫はこうだろ。」 首に唇をつけると、歯を立てられ、噛まれた。 きっと歯形がくっきりと残るのぐらいには強く歯を立てて噛んだと同時に性器を勢いよく跳ねさせ擦りつけた。 そして俺はざんざん掻き立てられていた欲情に全身が麻痺するほどの刺激に耐えることは到底できなかった。 「〜〜んっ!」 「はやっ、先にいくなよ」 「本当にっ!喋んないでください!」 その最悪な一言。 男なら言われたく無いランキング上位を飾ること間違いなしの言葉。 その発言を言ったことを後悔させてやると心の中で誓った俺だった。 「じゃ次はゆっくりやってやるよ。」 大きなが手が感触を確かめるようにして尻の肉をなぞる。 嗚呼、地獄の鬼が金棒振り回して笑っている。 撤回する事が一つだけ増えた、ドSだ、この人。
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