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蛯名千里は捜索対象の生き物の写真と身に着けていた物で、生き物の軌跡を辿る事が出来るサイコメトリーの1種『トレース(追跡)』の超能力の持ち主だった。
大まかな位置の特定にトレースを使い、細かな捜索にペンデュラム・ダウジングを使う探し屋。
そして。
有馬如華は念力の超能力の持ち主で、ロープを自由自在に操り、対象を捕獲する縛り屋。
我蛭事件以来コンビを組んで、何件か探し屋の仕事を熟す内に、徐々に名コンビとなりつつあった。
「ほらよっ、いっちょ上がり!」
「ブヒィーッ」
如華はミニブタをキャリーケージに勢い良く放り込んだ。
「もう!如華ちん!金蔓はもう少し優しく扱ってよ!ヘタに怪我してたら、値切ってくる客もいるんだから!」
「でもよぉ、脱走してて、怪我なんて普通だろ?」
「そうなんだけど、中には難癖つけるメンドーな客もいるのよ。捕まえて貰っといてね。」
千里は深いため息をつきながら、バッグに鍵をかけ開閉を確かめた。
「あー腹減った。サッサと帰ろうぜエビチリ。」
「そうね。ちょうど昼時ね。この子を引き渡したらなんか食べに行きましょうか?如華ちん何食べたい?」
「んー、そだなぁー。なんか、無性に豚カツが食いたくなってきたな。」
如華がミニブタを眺めて言った。
千里もケージを覗き込む。
「えーっ、奇遇ね!実は、私もなの。何でだろう?」
2人はブラックジョークを飛ばしながら、帰り仕度をした。
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