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 夢を見て、目が覚めた。  僕に「さよなら」と手を振り、離れて行く晃生の夢。追いかけようとしても、足が動かない。声も出ない。そうしてなにもできないまま、去って行く晃生を泣きながら見つめる夢。  カーテンを閉めたままの、まだ薄暗い部屋のなか、晃生の顔を間近に見つめた。  耳に心地良い寝息が聞こえる。ここに晃生がいることに安堵し、その頬に自分の頬を擦り寄せた。  起こさないようにそっとベッドを抜け出し、シャワールームへと向かった。身体中に刻まれた、晃生の痕跡を確かめる。その生々しい朱を見つめ、昨夜のことが夢ではなかったのだと思うと、否応なしに胸の鼓動が早まってきた。  晃生の宿泊先である、高級ホテルのスイートルームに入るなり、きつく抱きしめられ、食われしまうかと思うほどの激しいキスを交わした。立ったまま衣服を一枚ずつ剥ぎ取られ、一糸まとわぬ身体じゅうを撫で回され、腰が抜けるほどにふらふらにされた後、ベッドまで抱き抱えられて運ばれた。  なおも必死に逃げようとする僕の下半身を押さえつけ、不敵に見下ろしながら、「もしかして、初めて?」と訊かれた時は、顔から火が出るくらい恥ずかしかった。嘘をついてもバレバレだと思い、正直に頷くと、晃生はやけに嬉しそうに、僕の身体じゅうにくまなくキスを落とした。 「愁の初めてをもらうんだから、絶対に痛い思いはさせない。……優しくするから」  と小っ恥ずかしい台詞を平然と言ってのけると、顔を赤らめる僕の下半身に顔を埋め、信じられないくらいの時間と情熱をそそいで、晃生は僕のこわばった身体を開いたのだった。
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