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 最初こそ痛くて苦しかったものの、次第に気持ちよさの方が勝ってきて、初めてなのに「気持ちいい」とか「もっと」と叫んでいた僕に、晃生は困惑した面持ちで「参ったな」とか「ヤバいもたない」などとつぶやきながらも、結局三回も僕のなかで達してくれた。最後に僕が意識を飛ばすまで、数え切れないほどに「好きだ」と囁いてくれた。  夢みたいな時間だった。いままで生きてきて、一番しあわせだった。  僕はもう、この一夜の思い出だけで、生きていけるから。  ありがとう。……そしてさようなら、晃生。  僕はベッドの下に散乱した服を着込むと、もう一度、そっと晃生のくちびるにキスをして、踵を返した。 「どこに行くんだ?」  ドアノブに手を掛けた瞬間、背後から響いた声に、身体がびくりと跳ねた。 「どこって、家に帰るよ」  振り返らないまま、震える声を必死で押さえて答える。 「言っただろ。もう二度と離れないって」 「そんなの無理だ!」  自分でもびっくりするくらい、大きな声で叫んでいた。  振り返って、晃生を見据える 「僕には、晃生に言えない秘密がある。……こんな僕に、晃生の側にいる資格なんてない」 「秘密?」 「……」 「それって、俺たちが双子の兄弟だってこと?」  冷静に言い放った晃生を目を見開いて見つめたまま、僕は身動き一つ出来なかった。
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