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翌日、僕は胸の高鳴りを必死で抑えながら、晃生の通う高校へと向かった。
ガラリとドアが開いた瞬間、クラス中の視線が一斉に突き刺さり、僕は瞬時に固まってしまった。
そう、僕は重度のコミュ障なのだ。
もともと内気な性格のうえに、父に怯えて育ったものだから、常に挙動不審で他人と視線を合わせることが極端に苦手。趣味らしい趣味といえば研究室に夜な夜な籠っての化学兵器開発。友達と呼べる存在は今まで生きてきて、誰ひとりとして存在しない。
担任教師に促され、やっとのことで絞り出した自己紹介も、蚊の鳴くような声が震えているうえに、何度もどもってしまった。
クスクスと嘲るような笑い声があちこちから耳に届き、僕はその場で俯いてしまう。きっと耳たぶまで真っ赤に染まっている。
そんな僕の様子を見かねた教師が、「みんな、色々と教えてあげるんだぞ。……佐原」と、突然晃生の名字を呼んだものだから、僕は起き上がりこぼしのように勢いよく顔を上げた。
僕の視線の先に、佐原晃生がいた。
晃生は、僕と同じ顔をしていた。そして同じ顔なのに、雰囲気がまったく違う。こうも違うと完全に別人だ。
爽やかな笑みを浮かべた晃生が、僕を見つめたまま、颯爽と近づいてくる。
「よろしく。俺は佐原晃生。晃生って呼んで。君の名前、呼んでいいかな?」
「え? ……えっと、」
「俺の隣に座れよ、愁」
しどろもどろの僕に優しい笑みを向けると、返事を待たずに晃生が僕の名を呼ぶ。どういう反応をすればいいのか分からなくて、結局僕は視線を不自然に逸らしたまま、瓶底眼鏡のブリッジを押し上げた。
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