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「ありがとうございます。あの頃は、よく色々なところへ一緒に行きましたね。とても楽しかったです。莉莉の一番幸せな時でした」
「おや、今は幸せじゃないの?」
「まあまあ、です。」
そんな莉莉からのメールが、1週間ほど前から途絶えた。
莉莉とは、昔、上海の日式KTV(日本のキャバクラのようなもの。女の子は日本語が解る)で知り合い、付き合っていた。メールが途絶えたのは気になったが、誰か良い人を見つけられたのかも知れないな、そう思った。
親しく付き合っていたとは言え、生活を助ける関係での付き合いだったし、今は何の支援もしていないので、自分の生活を維持する為に誰かと付き合い始めたとしても、僕が文句を言える立場では無い。
特に日本人の男性は焼き餅焼きで、付き合っている女の子が誰かとスマホで連絡をとるだけで嫌がる人が多いし、莉莉も相手からスマホを禁じられたのかもしれない。
このまま上海に行くかどうか迷ったが、折角、休みも取っているし、飛行機のチケットも確保している。たとえ莉莉に会えなくても、久しぶりに上海の街(外灘や新天地)を彷徨いてみたいし、日式KTVでも遊びたいと思い、そのまま行くことにした。(本当は日式KTVで遊ぶのがメインです)
空港の出口を出て迎えの人波の中を見渡し、また、以前によく待ち合わせた少し外れた場所にも行って見たが、莉莉は当然だけど来ていなかった。
(やはりな・・・)
少し期待していたので、ガッカリしたが、気持ちを切り替え、もう夕方なので、このまま今日の夜は日式KTVで遊ぼうと決めた。
タクシーでホテルのある南京東路に向かった。
タクシーの運転手に英語でホテルを伝えるのは結構苦労する。しかし、今回は日本で予約したサイトに中国語での案内が記載されており(当然、中国人に見せて案内してもらう為)、それをそのまま運転手に見せると、直ぐに通じた。
中国の法律上の最高速度はいったい何キロなんだろう、といつも思う。今回のタクシーも早い。メータでは140Kmを越えている。
以前、上海で仕事をしていた時に、中国人社員に聞いたことがある。彼は冗談ぽっく「車(の性能的に)が出せるMAXです」と言った。
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