2.安奈

5/8
前へ
/29ページ
次へ
ホテルでのSEXを楽しみにして、その場ではそれ以上は進めず、安奈も服を元通りにした。 そして安奈の事などを聞いた。 四川省の出身だった。なぜか、上海のKTVの娘は四川省出身者が多い気がした。 少し性欲も落ち着いたところで、切り出した。 「莉莉という娘はこの店にいるのかい?」 「いえ、聞いたことがないです。その人、あなたの恋人ですか?」 「いや、違うんだけど、以前、よくこの店で会っていたので・・・・、どうしているかなと思って。辞めたのかな」 「その人がいたら、あなた指名しますか?」 「いや、安奈を指名するよ。僕は安奈が好きです」安っぽい「好きです」だなと思いつつ、気まずくなると困るので、そう言って取り繕った。まあ、取り繕いを除いても、安奈は僕好みの娘だったので、あながちウソではない。 「ちょっと待って下さい」と言って、部屋を出て行き、5分ほどして戻って来て言った。 「3ヶ月ほど前に辞めたそうです。体調が良くないので、と言っていたそうです」どうやら、女の子達の控え室へ言って聞いてきてくれた様だった。 3ヶ月前・・・。僕にメールをくれるより前だ。この店を辞めた後にメールをくれたことになる。メールでは、特に何も言っていなかった。 いつもと同じように、少し変な日本語のショートメール(中国では国の取り締まりでLINEが使えない)でやりとりをしていた。 どうしたのかな? 少し、気になったが、安奈がキスをしてきたので、それ以上、気にすることは無かった。 「R」店は、23時を越えると女の子は客と一緒なら退店できた。安奈が着替えるのを待って、店を出ると、店の前でスタッフがタクシーを呼んでくれた。 ホテルのカードを安奈に見せて、運転手に行き先を伝えて貰った。 週末の外灘にも近い繁華街の真ん中にある五つ星のホテルのロビーは賑わっていた。 「堂々とね」ロビーを横切るとき、僕の腕を取りながら、安奈が言った。 心得ている。こんな所でオドオドしていたら、これから悪いことをしようとしています、と言っているようなものだ。 部屋に入ると、安奈を抱きしめた。安奈がまたキスをしてきた。会って数時間なのに、もう、デープキスをする仲になっている。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

88人が本棚に入れています
本棚に追加