3:由枝

2/5
前へ
/17ページ
次へ
ピチャッ…   あれ…なんか気持ちいい… ヒンヤリとしたものが、 おでこの上に乗っている…   乗っている…   乗って…   …デコ冷やすと顔中冷えるのか…?   そういえばさ…           くっ…くるしっ…   幸季『…っぷぁっ!!!』   種葉『…あら起きたの?』   幸季『危うく永遠に眠り続けるところでしたよっ!!怒』   種葉『せっかく看病してやったのに…下僕の癖に生意気よ』   あ… これハンドタオルか…   俺の顔には絞り切れなかったのであろうびしゃびしゃのハンドタオルが乗っていた…   幸季『…サンキュー』   種葉『最初から素直にそう言えばいいのよ。っつかありがとうございますでしょ』   根源は貴女なんですがね…   言葉を飲み込む…   幸季『…ありがとうございました…』   種葉『…まぁ…突き飛ばしたのあたしだからね…根源は貴方だけど』   なぬー!?   まぁいいか…   桜田はもぐもぐと何かを食べている…   幸季『あ…ツナパン…潰れちゃったか…』   種葉『えぇ、見事なプレスっぷりだわ。パニーニも顔負けよ』   幸季『俺が潰したんだよな…悪い、買い直して来るからそれ残しなよ』   種葉『…いい』   幸季『え?』   種葉『いらない。潰れたパンも意外に嫌いじゃないから、あたし』   そっぽ向いたまま もぐもぐとパンを食べる…   そっと覗き込んだその顔は 少し赤くなっているように見えた…   へぇ…   なかなか可愛いトコあるじゃん…   まぁしばらくの間なら 桜田種葉の侭ごとに 付き合ってやってもいいかな…       ……なんて考えは甘かった…
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加