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二人で笑いながら、そろそろ帰ろうかとうなずきあった時、教室後方の引き戸がガラガラッとけたたましい音とともに開かれた。
僕たちが驚いて振り向くと、汗だくになり、肩を揺らしてゼエゼエと苦しげな呼吸を繰り返す友達が出入り口に立っていた。
何か恐ろしいものでも見たような形相でこちらを睨んでいる。
彼は最近彼女ができて、今日は放課後デートのはずだったのだが。
「どうしたんだよ?」
友達へ心配そうな声をかけて椅子から立ち上がる彼を、僕はそっと引き止める。
「彼女はどうした? デートじゃなかったっけ?」
僕が尋ねると、友達は顔をくしゃくしゃに歪めて叫んだ。
「逃げろ! ゾンビが……!」
友達が叫び終える前に、彼の背中へ長い黒髪を振り乱した女子生徒が飛びかかり、奇声とともに彼の首へ噛みつく。
「ジュン!」
彼が叫んで僕の手を取った。彼と僕は、絡まり合う友達と女子生徒を遠ざけるように近くにある机や椅子を蹴散らす。
そして、前方の引き戸から手に手を取って走り出した。
時はめぐり、僕はまた一から始める。
終
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