ゾンビになった彼と不甲斐ない僕

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 思えば、僕はいつも周りの目を気にしていた。  みんなの中で浮いていないかだとか、普通とは違う変な行動をとっていないかだとかそんなことを気にして、そのせいで仲のいい彼に嫌な思いをさせたことも何度もあったと思う。  自分が恥ずかしいから、周りから浮きたくないからなんて思って、彼に自分が思う普通の友達としての行動を求めたりだとか、文句をいってみたりだとか。  よくこんなになるまで友達でいてくれたものだ。 「イチ、ごめんな。いつも僕が不甲斐ないせいで、よく嫌な思いさせてたよな」  どうしてこういう時に限って、僕はみんなと同じであることができないのだろう。  僕が、襲ってくる彼を拒まなければ、僕は今頃彼と一緒にこの町をゾンビとして徘徊していただろう。  みんなと同じ、虚ろな目で徘徊するだけのゾンビになれていたはずだ。  彼は、放っておくと僕から離れていってしまう。  本当は僕なんていなくても、ゾンビとして生きていけるのだ。  でもそうしないのは、僕がこうして彼を掴んでいるから。 「ごめんな、イチ。おまえが朽ち果てるまでずっと一緒にいたいんだ」  家に帰り、僕は赤いサテンのリボンを見つけ出して彼の右手首と僕の左手首に巻きつけた。  こうしておけば大丈夫だ。  もし彼の左手がとれてしまったら、その時は右手首に結び直そう。
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