力の真実と蘇る記憶

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力の真実と蘇る記憶

 ……死んだ……。  そう思った。  ドカン、カタン、バタン、ガシャリ、ボトッ、ボトボトッ  宙に浮かんでいた物が次々と落下していくようだ。床に着地する音や割れる音、倒れる音が周囲から聞こえる。 「…………あ~…………」  どうしてこのテーブルは俺の上に載ってるんだろう……? 他の物はみんな、俺を避けて落ちてきてるのに…………。 「あ痛、イタタタ……ううう………あれ?…」  瞬きする。顔を上げるために首を動かせば、身体が動いた。 「あれ? 生きてる……?」  もう一度、瞬きをする。そして、自分の身体の半分を覆っているテーブルの重さに顔を歪めた。 「重…っ…」  自分が生きていることを認識した時、室内のざわつきにも気がついた。再び顔を上げると、リビングルームへ続くガラス戸は開いていて、シィ兄の他、カズ兄(一番上の兄貴の一哉(かずや))、フゥ兄(二番目の兄貴の二葉(ふたば))、そして父さんが顔を覗かせていた。俺と目が合うと、父さんは何故か吹き出し、横を向いて身を震わせた。 「笑うところじゃないでしょっ。ちょっと、あなたたちもっ。見てないで助けてあげなさいっ」     
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