TRACK 0 プロローグ

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しかし、テレビやラジオ・雑誌等のメディアには一切出る事はなくその容姿は関係者にしかわからないと言うがその可愛らしくセクシーで、どこか官能的な声が発する抜群な演技力と歌唱力が絶大な人気を誇り、CDを発売すれば即予約が埋め尽くされ、即日でどこの店でも品切れが相次ぎ、取り寄せ不可能になるほどだった。 5年前に初めて聞いた舞羽ヒメの声に衝撃を受け、胸が締め付けられるように苦しくなって以来すっかり虜になってしまった。 声を聞くたびに心臓が高鳴る。 歌声を聞くたびに胸が締め付けられる。 最初はなんだかわからなかった。 恋愛というものに興味などなかった。 それは現実世界の人間に微塵も魅力など感じなかったからだ。 それがどうだ、舞羽ヒメに出会ってしまった。 俺はその瞬間から360度変わってしまったのだ。 これが恋というものなのかと実感した…いや、実感せざるを得なかった。 だから、きっとヒメたんは俺の運命の番に違いないと思った。 だってこんなにも俺の心が震えるんだから 「あれ…ヒメたんの事考えてるうち終わっちゃった」 気づいたときには先程まで流れていたゲームのエンドロールは終わっていてタイトル画面が映し出されていた。 マウスを握るとカーソルを右上の小さな×印へ持っていく。 「また来るね、ヒメたん。」 先程までゲーム画面が映し出されていたデスクトップパソコンをシャットダウンすれば、真っ暗になった画面が残った。     
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