TRACK1:天使の声を持つ君

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TRACK1:天使の声を持つ君

「琉生?おい、琉生!」 「…んぁ?」 「てめぇ人の話聞いてんのかよ?」 「え、なに?」 大都会のど真ん中、三ツ星に選ばれたと言われている有名カフェに呼ばれた俺は頼んだブラックコーヒーを啜ると、目の前に座っていた幼馴染・王路雪弥がドンッとテーブルを叩いた。 金色のミディアムほどの髪をワックスで遊ばせセットされていて、その瞳は晴天の色の様な真っ青の切れ長の瞳。身長は180以上あり頭もよくスタイルも申し分ないこの男は保育園からの俺の幼馴染であり親友だ。 黙って笑顔を振りまいてれば王子様にしか見えないのに口も悪く俺様でドS、とっかえひっかえいろんな人と遊び放題で変態と来たものだ。残念なイケメンとはこいつの事を言うのではないだろうかとため息をつく。 しかしそれでもやっぱり世の中顔なのか、遊びでもいいから関係を持ちたいという人間は多いらしく男女問わず驚くほどにモテまくるから謎だ。 そして雪弥は元々は女だったらしい。 とは言っても俺と同じαだし、邪魔なものはすべて捨てたと言っていた。…まぁ同じものが付いてる事も知っているから俺は普通に男だと思ってる。 ーーーというかどう見ても男にしか見えない、ヤリチンだし。 「なに?じゃねぇだろ全く。なぁーにボーッとしてんだよ。意識だけでまた“ヒメたん”とやらと会ってたのか?」 雪弥が呆れた様にため息をつくと、テーブルに置いてある煙草を1本取り出して火をつけた。 「んー、まぁね。ヒメたんは俺の嫁だから」 当たり前だろ?と真顔で言う俺に雪弥がまた溜息をついた。 ふぅ、と煙草の煙をはくと灰皿に溜まった灰を落とす。
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