第2章 懇願

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その日は会社は休日で、泰介のところへ来ていた。 「洗濯物は、ここね。」 「あいよ、姉ちゃん。」 こうして見ると、泰介は病人には見えないけれど、いつ命を奪うかもしれない爆弾を、脳に抱えているのだ。 そんな時泰介が、俯きながら言った。 「姉ちゃん。俺、このまま死んでもいいよ。」 「なに言ってんの。人生、これからじゃない!」 「うん。でも、姉ちゃんの重荷には、なりたくないんだ。」 「泰介……」 病院の帰り道、電信柱の影に、闇金の広告が載っていた。 「もう、お金を借りるしかないか。」 私はその闇金の電話番号を控えて、電話をした。 もうその日は夜になり、猶予期間も過ぎていた。 それでいい。 本田さんとは、あの日だけの縁だったのだ。
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