一章 地盤

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「人間だ…。」と私は不意に口に出した。彼は少し恥ずかしそうにしていたが、すぐに何もなかったかのように話を始める。 「色々言いたいことはあると思うけど、まず、僕は君の願いを叶えるためにここに来たんだ。」 「へぇ…。」 その言いたいことを聞きたいという気持ちが高まって彼の言ってる事に興味も示さなかった。もしかしたら最新のアンドロイドかもしれない。いや、やはり夢か?でも痛みはある。そもそも何故昨日ノートの落書きの絵が実写化されてるの?今の状況を一言で表すと「混沌」。 「ああ、うん。見えるよ。」ああもう!混乱しているときに何が見えたんですかあなたは。 「君の考えている事思っている事すべてが。」えっ 「今、『えっ』って心の中で言ったね?」は?え、うん。まぁそうですけど 「今度は、『は?え、うん。まぁそうですけど』って言った。」嘘だろ…やべぇ、もしかしてこいつ… 「もしかして僕は?」 「相手の思っている事が分かる能力を持っている。」 「流石!正解だ虎白さん!」あーマジか。マジッすか。もうさらにカオスポイントが追加された。 「カオスポイントってなんだい?」 「あの一回黙って。」 「はい。」 ああ、なんだ。折角の休みの日なのにイライラする。理解できない。夢の中では虎になれとか言われて目が覚めたらオリキャラの実写化、そして非科学的超能力者…。まさか次は実は異世界の住人ですとか言うんじゃあないよな…。 「そのまさかだよ。」嘘だといってくれ…。 「嘘じゃない。」わかった、今日は私、疲れているんだ。寝よう。 「そう寝ようとしないで落ち着いて。とにかく君は、僕に質問したいんだろう?混沌を消すために。」 なんだ?謎の超能力エイリアン美青年野郎になんで説得されているんだ?ああもう、いいや。とにかく質問してやる…。いざ質問しようとすると何を聞こうか忘れてしまった。ええと、ええと…。 「性別は…」 「男」 「誕生日は?」 「6月24日」 「年齢は」 「数えたことはないが、今のところ肉体的な年齢は24.」 いや、こんなプロフィールみたいな質問をしている場合ではない。もっと大事な質問があるはずだ。深く考えてみる。血液型…いや必要ない。なんで一人称が僕なのか…そんなんどうでもええわ。個人的には私が良かったんだけど。あと、えっと、ううん。頭が裂けそうなくらいに悩んでいると、突然頭の上に電流が流れた
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