一章 地盤

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由香利…鳥鼠由香利のことじゃないか!先程まであんなにこれでもかというくらいに彼女についての悪口を言っていたのにあの対応か…。と驚愕している場合じゃない。これは彼女の一般常識だ。目を付けた相手には初めは優しく対応するが徐々に虐め方が露骨になってゆく…という事は今回の目標は鳥鼠由香利だ。多分だが、鳥鼠由香利は既読無視についての謝罪をしようとしていたが、彼女は許しているように見えていた…いや、許していないのだ。後…なぜ鳥鼠由香利はあのようなか細い声を出していたのか。普段からそのような声ではないはずだ。まるで、既に恐怖に侵されているような。教室に戻ると、その理由がすぐわかった。鳥鼠由香利が貰ったお誕生日プレゼントは、噂に聞く豪華なものではなく、本当の意味での「ゴミ」らしい。なんて悪質だ。テレビドラマに出てくる虐めっ子のレベルのいじめだ。何故彼女はそこまで弱いものを虐めるのだろうか。それをすることにより、権力を、保つことが、できるから? 『というよりかは、そうしないと権力を保つことが出来ないからだ。』 …え?  失礼。幻聴が聞こえたみたいだが、気にしないでおこう。きっと私の無意識の何かだ。 ああ、このような猛者を、フランクリンやケネディだったら、どう対処したのだろうか。そもそも対処するべき対象ではないのだろうか。 愚かなのは私か、彼女か、いいや、それとも…。 もしも私が何も恐れぬ「虎」ならば、あの苛政をそれらしく、猛々しく、狂い、噛み殺すことが、できるだろうに。
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