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足と床が密着するあの感覚がない。体全体が不安定だ。7秒間ここは何処なのか考えた後理解できた。ここは夢の中だ。
辺りを見回すと白なのか桃色なのか、紫色なのか黄色なのかよくわからない色に染まった空間にいる事が確認できた。追加で情報を言うと、何かの隙間から光が漏れている。何を言っているのかわからないが、夢とはそういうものだ。
何となく歩いてみたかったので歩いてみると、何か「人型の物体」が見える。なんだあれは。もう少し進むと、その物体…いや、人間がどのような姿なのかが分かって来た。紅い長髪の美青年。服装はチャイナ服のような衣装にロングスカート。どこかの貴族をイメージさせるような…。私はこの姿をどこかで見たことがある。だがどこで見たことがあるのか思い出せない。すると美青年は、口を動かし始めた。
『権力を…保つことが…出来ない…。』
どっかで聞いたような台詞だ。
『君…虎白…、虎になれ。』
何故私の名前を知っている?
『君は…苛政を…喰う…虎になるんだ…。』
何かがこみ上げてくる。狂いそうだ。一体あなたは何者なんだ?
『僕は…僕の…名前は…爲星闇夢』
爲星闇夢?聞いたことのない。でもなぜかしっくりくる名前だ。自分で作ったオリジナルキャラに名前を付けるときに付けそうな名前だ。
これも何を言っているのかわからないが、やはり、夢とはそういうものなのだろう。爲す星の闇夢…か。いや、爲政者の爲を捩ったのか…。
いや、そんなことよりさっきから視界がぐらつく。だんだん目の前の美青年の顔が歪んでいく。この時、私の脳から何かが抜け飛んだような感覚を覚えた。
気付いたら私は寝室のベッドの上にいた。無事に夢から覚めたようだ。あの美青年は何者だったのか。名は…。
「爲星闇夢。」自分では出せないくらい低く魅力的な声が真後ろから聞こえた。「誰?」と思わず発してしまった。
後ろを振り向くと…爲星闇夢がいたのだ!
「この衣装…君、中々良いセンスしてるよね。僕、こういう服好きだよ。」
お前は何を言っているんだ。そう、彼の台詞で思い出したのだが、彼のこの姿は昨日ノートの端に落書きをした時のあの絵だ。信じられない。私はまだ夢の中にいるのか?私は頬を抓ってみたが、かなりの激痛が奔った。痛い。という事は彼は存在するものなのだろうか。思わず彼の身体に許可も取らずに触ってしまった。
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