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「そうね……。でもこうしておばあちゃんのそばでおばあちゃんのことを話しながら賑やかに過ごすことも、死者への手向けになるんだって。おじさんたちだって、言葉にしないだけだから……。お酒で寂しさを紛らすことだってあるじゃない?」
「そうかもしれないけど、なんかこう、もっとしんみりしてるイメージだった」
「冠婚葬祭とかって地域によっていろいろだし、それでなくても本家は古い家柄な分、昔からのやり方がしっかりしてるからね」
「そんなもんなのかな。おじいちゃん時知らないし、よく分かんない」
「私も小さかったから、あまり覚えてないよ」
祖母のことを思ったのか、少し沈んだ依舞の手からお盆を引き取って、台所のある土間へと向かった。
おとなしくついてくる依舞のことを気にしながら、廊下ですれ違う弔問客に頭を下げる。
祖父と祖母の家系はそれぞれ昔から大所帯で、祖父母自身も母を含め八人の子どもを育て上げたほど大家族だ。そのせいか親戚と一口にいっても、見知らぬ顔も多い。
しかも山を越えた先の集落まで知れ渡る豪農だったせいか、本家は代々この界隈では顔役を勤めてきたという。
先に他界した祖父に代わるようにして、祖母も何くれと近隣の皆の世話を焼いて、慕われていた。
通夜にひっきりなしに訪れる弔問客の多さからも、祖母の存在の大きさがうかがえた。
ふと前方に、柱に手を置いて身体を支えている老齢の女性がいた。
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