5.フレンド

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マッチング補助とは、 男性ばかりで盛り上がらないテーブルに 女性だけのグループを合流させたり。 単独参加の男性に 壁の花となっている女性を引合わせたり。 とにかくそこそこの経験が無いと、 出来ない任務だと思われる。 かなり広い店内でポツンと立ちながら、 私はひたすら考えていた。 …このお見合いパーティーの改善点を。 まず、受付の若い女子はNGだな。 きっとあのコ、大学生だぞ。 あとは照明が暗すぎる。 こんなに暗いと離れた場所にいる人は 顔が全然見えないし。 それからこのBGM。 静か過ぎて会話するのが恥ずかしくなる。 もっと大きくしてもいいと思うな。 それからそれから…。 「何やってんだ?高橋さんは」 「うわっ、滝沢主任ッ!!」 1人ぼっちのクセに壁際へ寄るでも無く、 中央で思案に耽った表情をしている女。 その姿は、どう見てもヘンだろう。 しかし主任はそんな私に慣れているので、 全然動じない。 「やっぱお前、面白いわ。 せっかくの出会いの場だってぇのに、 きっと改善点とかを探してるんだろうな」 「な、なぜソレを…」 「あ!おーい、小西くん、こっちこっち」 「まさかマッチングするつもりですか? こ、このダメ女子の私にッ」 『小西くん』と呼ばれたその男性は、 ネームプレートに28歳と書かれており。 “翔”という軽やかな名前とは裏腹に、 かなり…ポッチャリさんだった。
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