5.フレンド

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…… >おいこら雅、 >本気で番匠さんを狙うなよ? >なんか真剣に迫ってるように見えるぞ。 実際はその逆で、 私が迫られているというのに。 トイレから出て来た芳は、 それだけ言い残して足早に去って行った。 目の前に転機が訪れたとき、 人は2つのタイプに分かれると思う。 『もしこれを選べばどうなるのか?』 を緻密のシミュレートし、 後悔しないようにと熟考するタイプと。 『自分はどうしたいのか?』 ただそれだけを優先し、 本能のままに突き進むタイプだ。 私なんかは正に後者で。 光正からの復縁の申込に対して、 『なんとなくイヤ』という あまりにも曖昧な理由で即答するのだ。 「ごめんなさい。 今は誰とも付き合う気になれないから…」 「えっ、誰とも?」 「うん、そう。誰とも」 「『今は』って、将来的には 考えが変わると思っていいのかな?」 だといいなあ…という願望も込めて、 私は無言のまま頷く。
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