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……
>おいこら雅、
>本気で番匠さんを狙うなよ?
>なんか真剣に迫ってるように見えるぞ。
実際はその逆で、
私が迫られているというのに。
トイレから出て来た芳は、
それだけ言い残して足早に去って行った。
目の前に転機が訪れたとき、
人は2つのタイプに分かれると思う。
『もしこれを選べばどうなるのか?』
を緻密のシミュレートし、
後悔しないようにと熟考するタイプと。
『自分はどうしたいのか?』
ただそれだけを優先し、
本能のままに突き進むタイプだ。
私なんかは正に後者で。
光正からの復縁の申込に対して、
『なんとなくイヤ』という
あまりにも曖昧な理由で即答するのだ。
「ごめんなさい。
今は誰とも付き合う気になれないから…」
「えっ、誰とも?」
「うん、そう。誰とも」
「『今は』って、将来的には
考えが変わると思っていいのかな?」
だといいなあ…という願望も込めて、
私は無言のまま頷く。
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