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2nd point 進路変更は難しい
家に帰ると、案の定両親はまだ戻ってきていないようで暗かった。
鍵を開け、電気を点けた後は自室に直行した。
『じゃあ、星城で会おうな!』
リフレインする彼の台詞に、私はなんだか催眠にかけられたような気持ちになっていた。
「ただいま~。あ~ひどい目にあったわ!」
そうこうしているうちに、母親が帰ってきた。
階段を下りると、袋を手渡してきた。
「お弁当買ってきたから、食べて!」
その日の夕食はひどく不穏なものとなった。
食べながら、実は星城大を受けたいことを打ち明けると、
母親は烈火のごとく怒りだした。
なんでもっと早く言わないの、もう親戚にも言っちゃってるのに、等
どうでもいい理由で彼女は怒っていた。
翔が言っていたような利点を述べても、やっぱり母親は首を縦に振ってくれなかった。
食欲が無くなって、半分くらい食べたところで私は席を立った。
「ちょっと、美羽!もったいないでしょ!」
また論点のずれた母親の怒声は本当に不快だった。
涙が溢れて止まらなくて、自室でひたすらつぶやきを繰り返した。
『MIU:星城ダメって言われた。多分許してもらえない。マジやる気失くした。』
すると、リロードする間もなく翔から返事が来た。
『SYO:>MIU 勇気出して言ったんだ。でも残念だったな。俺は一緒に行けたら嬉しいんだけどね。』
『MIU:>SYO 私も星城以外行きたくなくなってきた。親の言いなりで行く大学って楽しくなさそうだし。』
その日は眠れなくて、ずっとつぶやきの応酬を続けていた。
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