俺の机にチョコレート

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俺の机にチョコレート

 今日は特別な日だ。日頃の怒りを清算し、学園での立ち位置をしっかり確保し直さなければならない。数日前、学校の教室で槙村に聞かれた見下し発言が、俺の耳の裏に蘇ってくる。 「ねぇどうして吉澤は彼女を作らないの?」  俺は学園カーストの下位者、槙村は親が何件もの店を経営する金持ちの御嬢さん。地味キャラはいつの時代も、イケてるグループのおもちゃにされなければならないのか。腹立たしい。怒りがこみ上げてくる。 「ち、うるせぇな!」  俺は机を叩き怒鳴り声をあげると教室を出た。背中にイケてるグループの言葉がつき刺さる。 「キモ、絶対、バレンタイのチョコレートもらえなさそう」  舐める。舐めるな。舐めるなよ。思いだしただけでムカついくる。  俺はあいつらを見返すため、バレンタイン恋人計画を思いつた。方法はいたって簡単だ。アマゾンで買ったバレンタインチョコレートを、アマゾンで買った可愛らしいラッピングセットで包み、俺の鞄のなかに忍ばさせておくのだ。  それを体育の授業の後、タイミングよく鞄のなかから抜き出し驚いて見せる。 「あ、チョコレートが入ってる」     
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