0人が本棚に入れています
本棚に追加
ふと、テーブルの上に置かれた箱に目が留まった。
マネージャーさんが置いて行ったアスカ宛のファンレターなどが
入っているものだった。
のそのそと起き上がり、アスカはその中身を物色し始めた。
私なんかのために、こんなにたくさんの・・・ありがたいことだ。
アスカは丁寧に手紙をあけて、中身を読んでいく。
かわいい、応援してます、頑張ってください、憧れです、大好きです・・・たくさんの熱いメッセージ。
小さな子供から、アスカの3倍以上の年齢の人からも。中には、本気で書いたという熱烈なラブレターだったり、親のようにあのときはああしたほうがよかったなど嗜めるメッセージまである。
いずれもアイドルとしてのアスカに向けられたものだ。
けれど、アスカ自身にとってそれはただの美辞麗句でしかない。
TVに映るアスカの姿も、ラジオから聞こえるアスカの声もアイドルのアスカであり
ありのままのアスカとは違う。
違うようにしているのは自分ではあるけれど、自分自身のままでアイドルとして
やっていけるとは到底思うことはできない。
最初のコメントを投稿しよう!