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「二階には寝室しかないよ。」
階上を見上げていた、アスカに対してペルがそういいながら、先日と同じようにキッチンからケトルを片手に戻ってくる。
壁のラックから、茶葉の入った瓶を一つ取るとティーポットへいれお湯を注ぐ。
今日のお茶はバラの香りがするものだった。
ソファーに座ったアスカの前に、カップを置く。
「戻ってきてくれてうれしいよ。」
笑顔が張り付いた仮面から表情はうかがえないが、少なくとも声からはその言葉にウソはなさそうに聞こえる。
「そんなにじっと見ても何も出ないよ?」
ペルは見つめられ続けているのが気恥ずかしかったのか、おどけていった。
そして
「あーそうそう、これを渡しておくね。」
そいういうとポケットから例の【スイッチ】を取り出して、テーブルに置いた。
「いつ帰るかはアシュの勝手だけど、あまり長くいすぎることはお勧めしないかも。
そうだね…せいぜい3日ぐらいいたら、一度あっちに帰ることをお勧めするよ。」
ペルは視線を壁のラックの一つに向けた。
その視線を追うと、そこには、砂時計に小さな電光掲示板がついたようなものがあった。
上の箱から、下の箱へ砂がどんどんと落ちてきて、掲示板の数値が増えていく。
どうやら、これで時間を計っているようだ。
けれど、掲示板に表示されている数字は
年や日という区切りはなく、ただただ数値が増えていくばかり。
「今の数値に100を足すと大体3日ぐらいだよ。」
ペルはカップを手に取ると、仮面の下で一口飲んだ。
落ちていく砂は下にたまっていくはずだが、
下の受け皿部分の砂は一定量から変化していないように見える。
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