スイッチ

【人と自分と】

「ねぇ、アシュは羅生門って読んだことある？」

ソファに仰向けに寝転んで、本を読んでいたアスカの向かい側で、同じく本を片手に座っていたペルが急に聞いた。

「ラショー…モン？」

アスカは寝転んだまま、読んでいた文庫本から顔をひょっこりだして、ペルを見た。

「アシュ、それポケ●ンの仲間みたいなのって思ってない？」

こんなときのペルは表情が変わらないため、ツッコミなのか本気なのかわからず、怖い…とアスカは思う。

ペルは組んでいた足を解いて、アスカの正面に向かいなおした。

「芥川龍之介だよ？」
「あぁ、アクタガワーね、知ってる。うん、たぶん。」
相変わらずイントネーションがどこかのモンスターのようではある。

「あくたがわ・・・芥川龍之介。」
小さくつぶやいて記憶を探る。そうだ、教科書に載っていたような気がした。