【とりゃあ】

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 【とりゃあ】

この世界はどこまでいっても真っ白で、太陽も月もない。 それなのにこんなに暖かいのはなんでだろうか。 螺旋階段の途中で、うとうとしながら考えていた。 本を読んでいたのだが、ちょうどよい室温と連日の隙間のない仕事の気疲れから 気づけば階段に沿って壁に備え付けられた、ラックに体を預けるようにしてまどろんでいた。 ここ最近調子がいいと思う。 周りのメンバーからも、自分でもうまく過ごせていると感じている。 グループ全体が様々な方向で活躍と成長を続けているおかげかもしれない。 ペルはどこだろう。 現実と夢の間でぼんやりと考える。 寝室だろうか。 ペルの寝室には一度入ったことがあった。 螺旋階段を上ると、短い廊下があり、その先に寝室がある。 部屋と廊下の間には過去に扉があったような作りになってはいるが、 扉は取り外したのか、廊下からそのまま部屋へとつながっている。 一階と比べると、部屋はこぢんまりとしていてほとんど何もない。 入って右奥にシングルのベッド、左手にクローゼット、 あとは左奥に壁に面して机が置かれている。 壁に窓がないのに明るいなと思って見上げると、大きな天窓がついており そのおかげで、部屋が明るかった。
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