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ペルの両手はふさがっている。
アスカの顔のすぐ横に、ペルの仮面がある。
気になってはいた。ずっと。
仮面は顔や耳をすっぽり覆っているのだが、黒く細いひもが伸びており後頭部で結ばれていた。
お茶を飲むときに仮面をすこし上にあげることができるのはこの紐があるためか。
ってことは、仮面を下から上に跳ね上げれば、仮面ははずれる…。
急に心臓の鼓動が高鳴ってきた。
やってもいいのだろうか。いや、ダメだろう。
仮面をつけているというのは素顔を見られたくないからつけているのだ。
けれど、興味という魔物がじわじわと理性を蝕んでいくのを感じた。
気づけばもう、ベッドの横にペルはアスカを運んでいた。
アスカの体をベッドへと下ろそうと、ゆっくり体をかがめる。
ペルという存在とその真実に対して。
アスカは答えがどんなものであってもいいと思っている。
仮に人でなくても、ペルはペルだ。
それにペルは自分のことを一方的に知っている。
興味がないというならウソになる。
私はペルを知りたい。
まどろみと現実、好奇心と恐怖。
色んなものが入り混じった状況がアスカの体をつき動かしていく。
アスカはペルの仮面に指をかける。
とりゃあ。
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