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ペルの仮面が跳ね上がり、乾いた音をたてて床に落ちる。
現れた仮面の下の姿に、アスカは息をのんだ。
ペルの仮面の下にあったのは…
まったく同じ、仮面だった。
笑顔が張り付いた、まったく同じ白い仮面。
いや、よく見ると先ほどの仮面より一回り以上小さい。
今まで違和感を感じたことはなかったが、外側のお面が大きめだったようだ。
今のお面が顔のサイズであるのなら、顔自体思っていたよりかなり小さい。
顔自体にピッタリ近いサイズのため、耳ははみ出している。
人間の耳であることは間違いないようだ。
まさかの仮面オン仮面。
その予想外の結果に呆然としているアスカの耳にかみ殺した笑い声が聞こえてきた。
「…くっくっく。あはははは。」
アスカをベッドへ下ろして、ペルが我慢できず笑い出す。
「あのね、アシュのやりそうなことくらいお見通しなんだよ、僕は。」
下ろした両手を肩の高さで広げ、予想通りの動きに呆れたという気持ちを両手で表す。
「アシュ、ずっと仮面のこと気にしてたからね、そろそろ何かしてくるかと思ってたけど。
抱えたときから、ずっと見てるんだもん。笑っちゃうの我慢するのが大変だったよ。」
「ズルい!」
「ズルくない。むしろ急に仮面を取ろうとすることのほうがズルいでしょ。」
ペルは広げた腕を組んでアスカを見下ろした後に、
不満げに見上げるアスカのおでこを嗜めるように指先ではじいた。
「うー。」
はじかれたおでこを両手で抑える。
痛いわけではなく、恥ずかしさからだった。
自分なりに覚悟を決めて取った行動だったのに、まさかその結果がここまで見抜かれていて
逆に罠を張られていたと思うと。
「もう嫌い。」
ベッドを転がって、ペルに背を向けた。
「ふふふ、今度は内側の仮面が取れるように頑張ってね。」
「ヤダ、もぉ嫌い。」
ベッドの上で足をバタバタとして、嫌いを連呼するアスカ。
「はいはい、いつかその時が来たら、見せてあげるから。」
暴れるアスカを押さえつけるように、ペルは布団をかけて、
床に落ちた仮面をつけなおした。
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