0人が本棚に入れています
本棚に追加
頭のすぐ先には扉がある。
けれど立ち上がって、その扉を叩くことはできなかった。涙は流れ続ける。
このままずっとここにいたら、私はどうなるかな。
3日ぐらいいたら、一度あっちに変えることをお勧めするよ。とペルは言っていた。
けれど
何日だろうが、何年だろうが、居れないわけではないんだけどね。と仮面は言った。
あの瞬間だけ、仮面が生きているように感じた。
仮面が私に問いかけている。
そんな世界なんか諦めて、ここにずっといればいいじゃないか…と。
もしかすると、3日を過ぎたらこの世界から帰れなくなるのではないだろうか。
なんとなくだけどそんな気がした。
木製の扉に着いたドアノブは、鉄製で扉との接合部から、右に向かって緩やかにカーブしている。ドアノブに注目したことがなかったが、文字が書いてある。
『I.P』
P…あぁ、ペルの名前だろうか。
そういえば表札めいたものがこの家にはない。
Iの横にもアルファベットがあったようにもみえるが、
接合部に近い部分で最も掴まれる部分のためか、文字が削られてしまってはっきりとは読み取れない。
最初のコメントを投稿しよう!