【硬い殻のように】

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頭のすぐ先には扉がある。 けれど立ち上がって、その扉を叩くことはできなかった。涙は流れ続ける。 このままずっとここにいたら、私はどうなるかな。 3日ぐらいいたら、一度あっちに変えることをお勧めするよ。とペルは言っていた。 けれど 何日だろうが、何年だろうが、居れないわけではないんだけどね。と仮面は言った。 あの瞬間だけ、仮面が生きているように感じた。 仮面が私に問いかけている。 そんな世界なんか諦めて、ここにずっといればいいじゃないか…と。 もしかすると、3日を過ぎたらこの世界から帰れなくなるのではないだろうか。 なんとなくだけどそんな気がした。 木製の扉に着いたドアノブは、鉄製で扉との接合部から、右に向かって緩やかにカーブしている。ドアノブに注目したことがなかったが、文字が書いてある。 『I.P』 P…あぁ、ペルの名前だろうか。 そういえば表札めいたものがこの家にはない。 Iの横にもアルファベットがあったようにもみえるが、 接合部に近い部分で最も掴まれる部分のためか、文字が削られてしまってはっきりとは読み取れない。
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