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【スイッチ】を押し、世界が変わるとすぐにアスカは駆け出した。
もちろん、あの建物に向かって。
今までぼんやりとそれぞれにあった点が、アスカの中で全て繋がり、線になる。
その瞬間、アスカにはペルの正体がわかった。それこそ【スイッチ】を入れた電気回路のように、一瞬のうちにそれは繋がったのだった。
こんな形で、ペルの正体を知ることになるとは思ってもみなかった。
肩で息をしながら、黒い建物の前までたどり着いた。
鉄製のドアノブに手をかける。
ドアノブの正面に刻まれた文字。
『I.P』
その文字の前に、もう一つ文字がある。
そっと親指の腹でそこにあったであろう文字に触れてみた。
かすれているが、触れて見て、思っていた言葉と違いないことが分かった。
アスカは力を込めてノブを下げると、扉を押した。
いつもはペルが開けてくれていた扉。
自分で開けるのは初めてだ。
分厚い扉は、ギィという古めかしい音を立てて開く。
『やぁ、アシュ。ずいぶん遅かったね。』
初めてペルと出会ったときの言葉が思い出された。
そう、遅かったのだろう。
全て理解できたわけではないが、きっとこの回答にはもっと早くたどり着けた。
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