■4:ある一人のアイドルの形■

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扉を開けると、いつもと変わらぬ部屋が広がっている。 改めて部屋を見回してみる。 実に居心地のいい空間。 溜息とも、苦笑いともつかない息を吐いた。 壁のラックに乗せられた、砂時計に目をやる。 つけられた電光掲示板はエラーを起こしていて、砂時計自体はもう後わずかで下の箱が一杯になるところ。 そうだ、ここにずっといることもできるけど、そうしてはいけない。 ペルが教えてくれていた。 アスカは螺旋階段を駆け上がる。 上階に辿り着くと、視線の先、一直線にペルの部屋が見える。 ペルの部屋の中央に、見慣れない格子状の棒が上から降りてきている。 部屋に近づくとそれは梯子で、天窓は開けられて、そこからその梯子が降りてきているのがわかった。
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