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「ペル…」
梯子を伝って屋根に上がると、ペルは建物の先端部分でこちらに背を向けて立っていた。
ピンと足を揃えた直立のまま、どこまでも続く白い世界を見つめている。
長い黒髪が、モーニングの腰ぐらいまで垂れていて、その両脇には小さな手がしっかりと握られている。
アスカの存在にはまだ気づいていないようだった。
ペルの背中まで、あと数歩というところで、アスカはその背中に叫んだ。
「いつまで1人ぼっちでいる気?」
ペルは振り返る。
「アシュ…来てたんだね。」
「どうせ来るって知ってたんでしょ?」
「あーあ、バレちゃった…か。」
バレたというよりも、この時がついに来てしまったかという風に聞こえた。
ペルは身体ごと、アスカに向き直り、アスカと相対する。
いつも通り、笑顔の張り付いた白い仮面。
その奥から、ジッとアスカを見つめる視線を感じる。
「問題です!」
突然、ペルが声を発する。
「さて、ここはどこでしょう?」
いつも通りの少しおどけた声。
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