■4:ある一人のアイドルの形■

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「わたしが創ってきたキャラ…その設定に使ったいろんなモノが入ってた。」 デビューした当時、右も左もわからない私たちは必死に自分たちを繕った。 少しでも記憶に残してもらえるように。 少しでも爪痕を残せるように。 アスカにとっては懐かしくも恥ずかしくもある。いわゆるキャラ作りのために使った小道具たちが、抽斗には入っていた。 とうの昔に捨てたはずのモノも、最近まで演じるために使っていたモノも。 「おや、先に見ちゃったの?仕方ないなー。」 ペルは両手のひらを上に上げるようにして、おやおやといったポーズをとる。 「わざと開けてたくせに…。」 という、アスカのつぶやきは聞かなかったかのように、ペルは言う。 「まぁ、いっか。正解!」 そしてペルは一歩前に歩み出る。 アスカのすぐ目の前。 最初にアスカよりも背が高い思ったのは、靴のせいだ。 ペルはワザと底の高い靴を履いていた。 今は、そうではない。 だから、アスカと身長は変わらない。 「最終問題です!」 ペルは少しだけ間をとってから 「僕は誰でしょう?」 そう、アスカに聞いた。
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