■4:ある一人のアイドルの形■

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ペルソナ… 自己の外的側面。 他人に見せる自分のキャラクター。 周囲からは温和で、優しく、虫一匹殺さなそうな印象だった人が、内面では激情的な殺人衝動を秘めていたことで事件は起こったのです。 なんて解説していたのは直前に撮影していた番組のコーナーにいた心理学の専門家だった。 アスカにとってそれはテレビで、ラジオで、握手会で見せる自分であって、本当の自分ではない。 アイドルは猫をかぶる仕事、なんて言う人もいる。 そう、アスカも多くの仮面をかぶって、そしてその仮面を捨ててきた。 「どうだった?ボクっ娘、好きでしょ?」 「仮面じゃん…」 仮面のせいで性別不詳なのだから、僕なのかボクっ娘なのか、わかるわけない。 いや、そんなことより… 「なんで?ここは?」 事実がわかったところで、なぜこうなったのかは理解できていなかった。 自分自身がもう1人居る世界。 「なんで…か。」 ペルは少し困ったような顔をして、アスカを中心に円を描くように歩き出した。
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