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「そう。アシュは悩んだ。悩んでた。たくさん、たくさん。デビューした時も、その後も、選抜にいた時も、アンダーに落ちた時も、ずっと、今でも。」
だんだんと声は大きくなり、最後は叫びのようになっていく。
「僕たちはね。見ているしか無かった。アシュの仮面として。その時のアシュが壊れていくのを見ているしか…」
ペルは瞳に涙を溜めて、悔しさに顔を歪めていた。
「今のアシュは知らないだろうけど、ここで多くのアシュが終わっていったんだよ。否定され続け、裏切られ続けた世界に絶望して。時に反撃に撃って出ようとしたこともあった。奪われることが正しいなら先に奪えばいいって。けれどね、アシュはできなかった。」
ついに涙は溢れ、頬を伝う。
アスカはそっとペルを抱きしめた。
いつぞやの時とは反対に。
そういえば、あの歌は『誰か』の歌では無かった。
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