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問題編
#1
「ということは、今回の祝言によって洋二さんが
光村家の正式な当主となったということですか。」
鬼鬼鬼瓦警部はまるで鬼瓦のような顔を険しくしながら、低い声で呟いた。
そして、薄紫色の着物に身を包んだ文江が目を伏せながら頷くのをじろりと睨みつけるような視線を投げかけ顎をひとなで。
「なるほど、なるほど。
ご協力ありがとうございました。
また、色々とお伺いすることもあるかと思いますが、
その際はよろしくお願いします。」
警部はのっそりと立ち上がり、軽く頭を下げる。
それに答えるように文江は、静かに鷹揚に頭を下げ返す。
「警部!」
ざざりと襖が勢いよく開けられ、若い巡査が部屋に。
「どうした。」
「あの、それがですね。」
「なんだ。」
「警部にぜひ会わせろという男がおりまして。」
「はぁ?」
「え、その、銀大地 業輔(ギンダイチ ギョウスケ)と名乗っておりまして。」
「なんだと?」
長身蓬髪、藪にらみ気味の男が気がつけばふらりと襖の横に立つ。
「…お久しぶりです、…鬼鬼鬼瓦警部。」
「お前、入り口で待っていろと…。」
「ああ、構わん。」
「しかし、警部。」
「そいつは、あれだ。まぁ、いいんだ。お前は下がってろ。」
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