1人が本棚に入れています
本棚に追加
苛立たしげに投げられる言葉に巡査はしぶしぶといった体で襖を閉める。
「あの、警部さん。こちらの方は?」
「…始めまして、銀大地と言います。…警部とは古い知り合いでして。」
「別に俺はお前と仲良くしたいわけじゃないんだがな。」
「…そんな風に邪険にしないでくださいよ。…ええ、何と言うか、私、探偵でして。」
#2
「今回ばかりはお手上げだ。」
鬼鬼鬼瓦警部はわざとらしく、両手を挙げる。
「…確かに厄介な事件のようですね。」
「仕方ない、まったくもって参考にはならんだろうがせっかくだ。」
お前の意見も聞いてやろうじゃないか。」
「…では、すいません。…現場が発見されるまでの様子を詳しく、…教えていただけますか。」
「ふん、仕方あるまい。」
懐から黒革の手帳を取り出し、指を唾で湿らせるとせわしなくページをめくる鬼鬼鬼瓦。
「一度しか言わんから、よく聞けよ。
遺体発見の前日、この家では被害者の光村洋二と翔子の結婚式が執り行われていた。
宴もたけなわになったのが21時ごろ。
参列した招待客は、基本的にこの時間で麓の村に戻っている。屋敷に残ったのは9人(事件概要参照)。
ちょうどその時間帯から突然の豪雪があってな、
小一時間ほどであたりは真っ白って寸法さ。
雪が止んだのは、午前2時ごろだ。
最初のコメントを投稿しよう!