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事件概要
舞台はとある旧家の土蔵で起こった殺人事件。
いわずもがな犯行現場は密室。
しかも、ただの密室ではない。
唯一の出入り口である入り口は、内側から閂(かんぬき)で施錠。
おまけに外側からは、まるで忌むべきものを封じ込めるように同じ村内にある泥々寺(デイデイジ)で作られたお札によって封印が施されていた。
この札は今から50年前に貼られたものであり、今回の事件が発覚するまで一度も破かれたことがないものであった。
さらに言えば、前日から降り積もった雪が土蔵の周りを彩っており、証言者の言葉を信じるならば周囲には土蔵へ向かう足跡は1つあっただけである。
蔵の中には、合計で7つの死体があった。
内5つは白骨化している状態であり、鑑識の結果、それぞれ死後50年、40年、30年、20年、10年が経過していたものと思われる。
残り二つの遺体は、この旧家で遺体発見前夜に結婚式を挙げた光村洋二(32歳)、翔子(24歳)。
二人は土蔵内側の入り口付近に折り重なって倒れており、共に腹部を滅多刺しにされている状態で見つかった。
白骨化した遺体の身元は確認されていない。
事件が発覚したのは、この二人の血液が土蔵入り口下部の5センチメートルの隙間から流れ出た血液のためである。捜査の結果、土蔵へ向かう足跡は、
この洋二のものということが確認された。
事件当時、この旧家に滞在していたのは下記の9名。
光村 文江(51歳) …洋二の継母
光村 総一郎(53歳)…洋二の叔父
光村 月子(36歳) …総一郎の妻
光村 隼人(30歳) …洋二の義弟(文江の連れ子)
江川原 幸造(74歳)…光村家に住み込みで働く老人
江川原 弓枝(17歳)…幸造の孫
北山 昇(25歳) …洋二/翔子の共通の友人
花村 美鈴(23歳) …洋二/翔子の共通の友人
殿宮 深(68歳) …泥泥寺の和尚
前夜に行われた結婚式のために集まった客であり、
妻である翔子には親族がなかったため身内としては洋二の親族ばかりである。
他にも式に参加した客は多くあったが、雪が降り始める前に現場からは退席しており、それぞれ宿泊先の宿にてアリバイが確認されている。
『これは厄介なことになった』と鬼鬼鬼瓦(キキキガワラ)警部は、思わず息を飲み込んだのは言うまでもないことであった。
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