181人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
その後、しばらく談笑に付き合った俺は、戻ってきた保険医にがっつり叱られた。なのに久永が取り成したら説教が尻すぼみになって終わったので、イケメンはつくづく得をしていると思った。
それからしばらく経った日の、体育の授業中。
グラウンドに立った俺は、きれいに晴れ上がった青空を見上げ、眉をしかめた。日差しが強い日は久永にとっては鬼門だ。これまで何度か気持ち悪そうにしているのを見たことがある。
しかし、当の本人に自覚はあるのかないのか。いつも通り楽しげにクラスメイトとふざけ合っている。そんな久永を遠目に眺めていると、頭痛がしてくる。
体育教師が二人一組になるように、と言ったのを合図に久永に駆け寄った。近づいてきた俺に気づくと、久永はにこっと笑いかけてきた。
「なに? 俺と組む?」
「……あぁ」
「いいよー。やろやろ」
いいよー、じゃない。誰のためだと思ってるんだ。
ため息を胸中で押し殺して、久永と向かい合う。久永に罪はない。俺が勝手に守ってやりたいと思っているだけなんだから。
柔軟をしておくように、と言い置いて、体育教師は体育委員と用具を取りに行ってしまった。
残された生徒たちは適当に柔軟らしいことをしたり、雑談に興じたりしている。
俺たちも一応、背中を押し合ったりしていたが、その内ふとあることに気づいた。
最初のコメントを投稿しよう!