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担任にまで当然のように見送られると、今さら他のひとに手を貸して欲しいとは言い出しにくい。
肩にかかるずっしりとした重さに耐えて出口へ足を向ける。恒例のこととはいえ、歩を進めるごとに遠巻きに眺めている生徒から物珍しげな視線が突き刺さる。
肩は痛いし、じろじろ見られるのは好きじゃない。手伝う気がないのなら放っておいて欲しい。
「…………」
こみ上げるもこのモヤモヤとした感情をどこへ向ければいいのか。だが、久永を責めるのは筋違いだろう。コイツだって好き好んで貧血なんて面倒くさい体質を抱えているわけではないだろうし。
ため息で不快感を押し殺し、体育館を出た。幸い保健室はここからほど近い。
保健室の前に立ち、行儀悪く足で扉をノックした。せめてドアを開けて欲しかったのだがあいにく無人で、内心文句を垂れつつ苦労してドアを開ける。
意識のない身体をベッドへ横たえ、内履きを脱がせたところで、限界が来た。
「ちくしょう……しんど……」
久永をベッドの隅に押しやり、その横にごろんと転がる。遠くで校長と思しき声が滔々とありがたい話をしているのが聞こえた。どうやら集会はまだしばらくは終わらないらしい。
天井を見上げ、荒くなった息を整えていると、隣で寝そべっていた身体がもぞもぞと動いた。
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